『カラー版 重ね地図で読み解く京都の「魔界」』を読んで
京都の魔界を歩いてみた

もくじ
●  読んだ本について
▼ 『カラー版 重ね地図で読み解く京都の「魔界」』の内容について / ▼ この本を選んだ理由 / ▼  感想

● 今回のアクション!~京都の魔界を歩いてみた~
▼ このアクションにした理由は? /▼ 魔界を歩いてみた&魔界を歩いてきた感想

● 
今回の記事を書いた人について

読んだ本について




『カラー版 重ね地図で読み解く京都の「魔界」』

監修 / 小松和彦
宝島社
ISBN-10 / 4800291658
ISBN-13 / 978-4800291653

『カラー版 重ね地図で読み解く京都の「魔界」』の内容について

京都の魔界歩きのガイドブックです。魔物たちと対峙した陰陽師・安倍晴明や密教僧・空海と最澄といったお馴染みの人物や、神社仏閣や通りにまつわる妖怪や怨霊たちのエピソードが書かれています。


この本を選んだ理由

コロナ禍で話題になったのが疫病除けの妖怪アマビエ。私が暮らす京都の妖怪といえばなんだったかな?と疑問に思い調べたのがきっかけでした。
平安の頃は陰陽師が活躍していた京都ですから、妖怪や怨霊といった魔物には事欠きません。「魔界都市・京都」をテーマにした類書は数知れず。
これを機に本書の他にも何冊か手に取ってみましたが、他書との大きな違いは半透明のトレーシングペーパーによる地図が付いている点。 この半透明のトレペには現在の京都の地図が描いてあり、紙のページに描かれた平安京の地図とを重ねて透かし見ることができます。 全頁カラーで、平安京の場所が現在の京都市のどこに当たるのかが容易に確認できるところが気に入りました。


『カラー版 重ね地図で読み解く京都の「魔界」』感想


私は十数年京都で暮らしていますが、ふだん街を歩いていて、ここは平安京のどのあたりだろうと思うことはあっても、特に調べることもなく過ごしてきました。
平安京の大内裏は現在の京都御所よりも西にあり、朱雀大路は時おり歩く千本通りだったこと、平安京の東端は寺町通りで、河原町通も木屋町通も洛外だったとわかったのは収穫でした。
平安京に遷都した桓武天皇が弟早良(さわら)親王の祟りから逃れるために、神獣によって四方の方角が守られた四神相応(しじんそうおう)の地を選んだことや、 京都に寺社が多数あるのは怨霊を祀ることで、魔物の侵入を防ぐ呪的な仕掛けとしたため、などという話を読むと、 魔界のものたちの存在を肌に感じ、怖れながら生きていた平安人の心情をリアルに感じることができました。
なお、京都を代表する妖怪は鵺(ぬえ)でした(他にもいます)。




京都の魔界を歩いてみた

このアクションにした理由は?

「自粛疲れ」「コロナ疲れ」対策に、外で行う密にならないアクションを考えました。

魔界を歩いてみた&魔界を歩いてきた感想







商店街は「一条妖怪ストリート」と呼ばれています




中におみくじが入っています

・ ・ 本書掲載の社寺と通りに出かけてみました。

最初に訪れたのはさまざまな伝説が残る一条戻橋(いちじょうもどりばし)。

この橋の下に安倍晴明が陰陽道で使う式神を隠していたと言い伝えられています。

遊歩道が整備されている川岸に降り、橋の下を覗いてみましたが、見つけることはできませんでした。

現代では戻橋から北に百メートル先の安倍晴明神社に式神がいます。

かつての一条大路だった一条通を歩きました。

ここより北側は洛外であり、蓮台野(れんだいの)と呼ばれる風葬の地でした。

そんな雰囲気は微塵も感じられない住宅地でしたが。


しばらく歩いて、お昼ごはんにパンを買おうとお店の前に立つと、妖怪たちが出迎えてくれました。

商店街の他の店の前にもさまざまな妖怪たちがいて、私のようすを窺っていました。

現代の妖怪は市民と共存しているようです。

のどかな自然が広がる嵯峨野にも化野(あだしの) という風葬の地がありました。

その地に建つ化野念仏寺(あだしのねんぶつじ) を訪れました。

境内の一画に無数の無縁仏や石塔が集められています。

無常を覚え、あの世が近くに感じられる場所でした。

帰る途中、松尾大社を訪れました(本書に載っていませんが)。

社務所を覗くと四神相応説で西を守護する「白虎(びゃっこ)」のおみくじを見つけました。

占ってみると結果は末吉。

今は疫除けのために私の家を守護してくれています。

今年の夏の京都は、祇園祭が中止となり、五山の送り火も大幅に縮小されて「炎の点」となります。

今の京都は外国人観光客の姿は消え、歩いているのはほぼ日本人ばかりです。

今回の京都歩きではグローバル時代以前に戻った気分になりました。

コロナや仕事に疲れたら、訪れる人も少ない京都の魔界を巡って邪気を払い気分を一新しようと思います。


今回の記事を書いた人について

                                                                                                                                                                                                                                

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御殿山美術センター スタッフM.K